ESG（環境・社会・企業統治）の重要性を理解していても、具体的な方法や効果的な始め方が分からず「ESGはハードルが高いもの」と感じる企業は少なくありません。
そんな中、注目を集めているのが「ESGコンサルティング」です。ESGコンサルティングには実践的な解決策の提示が期待できるため、興味のある企業担当者の方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ESGコンサルティングの役割やサービス内容を分かりやすく解説します。また、コンサル会社を選ぶ際の3つのポイントを紹介します。
最後まで読めば、ESGコンサルティングによる持続可能な未来に向けた経営戦略が見えてくるはずです。
ESG経営の重要性とは？
ESG経営とは「環境：Environment」「社会：Social」「企業統治：Governance」の3つを重視する経営手法を指します。ESG経営の概念は、2006年に国連が提唱した責任投資原則（PRI）を発端に注目されるようになりました。
さらに、2015年には年金積立金管理運用独立行政法人が同原則に署名。これにより、日本の投資家や株主からもESGを投資判断の指標とする必要性が認められ、重要視されています。
ESG経営が注目される背景
ESG経営が注目される背景には、地球温暖化や社会的不平等といった、多くのグローバル課題の顕在化があります。しかし、それだけではありません。
近年、リーマンショックによる金融不安や、業界を牽引してきた企業の不正行為など、財務力を重視した投資判断の難しさが浮き彫りになっています。
その結果、持続可能な成長のための新しい基準として、環境や社会への影響を考慮したESGが注目されているのです。
持続可能な経営に向けたESGの役割
ESG経営が果たす役割は、主に以下の3つがあります。
- 投資家からの評価向上
- 市場での競争力強化
- 人材採用の促進
ESGへの取り組みは、リスク管理と長期的な収益性の確保に貢献するため、投資家にとってより魅力的な投資先となります。
また、環境と社会への積極的な対応を評価する消費者やビジネスパートナーも多く、市場での競争優位性が確立されるでしょう。
さらに、多様性を尊重する職場には、優秀な人材が集まり、採用促進と雇用定着に好影響を与えます。
ESG投資について、詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
ESGコンサルティングとは？
とはいえ、ESG経営の重要性は認識されつつあるものの、「実践が難しい」「具体的な方法が分からない」と、多くの企業や経営者が課題を感じているのも事実です。
そこで注目されているのが、ESGコンサルティングです。
ESGコンサルティングの概要
ESGコンサルティングは、企業が直面しているESGの課題を明らかにし、具体的な解決策を提示するサービスです。
具体的には、企業の現状分析から、ESGに関する目標設定、戦略立案、成果のモニタリング・評価までの一貫したサポートを提供します。
すでに欧米ではESGに対する理解が進んでいますが、日本ではまだ正しい知識を持った専門家が少ない状況です。そこで、ESGを踏まえた経営戦略を提案するコンサルタントの存在ニーズが高まりをみせています。
提供される主なサービス内容
ESG対策の進捗と課題は企業ごとに異なり、提供される対応範囲もさまざまです。また、サービス内容は、簡単なメール相談からESGの取り組みを評価するツールの提供まで、多岐に渡ります。
たとえば、日本工営株式会社の『KIBOH 2030』は、ESGの取り組みに対し、自社／グループ企業・取引先・サプライヤー・団体会員企業等の健全性や適応力を確認・チェックできるサービスです。
これまでに自治体や商工会議所等で同サービスを採用。また複数社まとめて診断可能という強みを生かし、民間事業者のESG/SDGs取組み状況の見える化を実現しました。
自社に合ったコンサルティングファームの選定基準
コンサルティングファームごとに提供するサービスの範囲や専門性は異なります。そのため、以下の要素を多角的に検討し、自社のニーズに最も合致するパートナーを見つけましょう。
- 専門分野における深い知識
E（環境）、S（社会）、G（ガバナンス）対応は、それぞれに深い専門的知見が必要になります。環境だけをとっても、水、生態系、廃棄物など、その分野は多岐にわたります。また、国・地域によっても状況は変化します。自社が期待する分野・地域の専門家を有しているか、自社の課題を理解し、解決策を提案してくれるかどうかを検討します。 - 対応可能なサービス範囲
自社が必要とするESG関連サービスをカバーできるかを確認します。 多くの場合、コンサルティングファームが有する専門性は異なりますので、広い分野をカバーするために、複数のコンサルティングファームと協業することも考えられます。 - 企業文化との相性
文化や価値観が、自社の企業文化と合っているかを判断します。担当者との相性も信頼関係を築くためのポイントとなります。 - コスト構造
提供されるサービスの質とコストが自社の予算に合っているかを検討します。
選定基準が複数ある場合は、優先順位を設定しましょう。
ESGコンサルティング導入のステップ
ESGコンサルティング導入を成功させるための3つのステップを紹介します。各フェーズでの具体的な施策を行い、導入の障壁を減らしましょう。
準備段階：内部体制の整備
ESGコンサルティング導入の第一歩として、内部体制の整備が不可欠です。体制が構築されていないと、組織内の意思疎通や協力体制の欠如のリスクがあるので早めに整えましょう。
実施内容 | 目的 |
ステークホルダー間の共通認識形成 | 組織全体が一致団結して目標に向かって努力できる基盤を作ります。 |
基礎知識の共有 | ESGの重要性や知識を共有し、個人の理解の浸透と、組織の対応力を高めます。 |
人的・財務リソースの確保 | 計画の実行可能性を高め、スムーズなプロジェクト進行を保証します。 |
プロジェクトチームの設立 | チームメンバーはそれぞれの専門性を生かしたチームを設立。企業文化にESGの価値を根付かせます。 |
これらの適切なステップを踏むことで、社内の関係者との協力が深まり、企業価値の向上に繋がります。
実施段階：コンサルティングプロセス
コンサルティングプロセスでは、企業のESG目標達成に向けた以下の行動を実践します。
- 企業の現状を分析
- ESGに関連する課題を特定
- ESG目標に合わせた戦略策定
- 実行可能なアクションプランを提案・実行
実施段階において重要なのは、透明性の維持と柔軟性です。取り組みの進捗状況や成果を定期的に公開し、透明性を保つことで、ステークホルダーとの信頼性向上に繋がります。
また、ESGに関する外部環境は常に変化しています。法規制や市場のトレンドなど、外部環境の変化に応じて戦略やアクションプランを柔軟に調整する必要があります。
定着化：取り組みの持続と評価
最後に求められるのが、取り組みの定着化です。ESGコンサルティングにおける成果には時間が必要であり、中長期的な視点での取り組みが必要です。
ESGの継続は単なる目標達成ではなく、企業文化に価値観を浸透させ、結果として、消費者や投資家からの支持を獲得できるでしょう。
また、KIBOH 2030などのツールを用いて、定期的な進捗の確認と目標に対する成果測定も大切です。段階的に戦略を振り返れば、ESGの取り組みをより効果的に進められます。
ウォッシュを避けてESG経営を推進
環境、社会、そして企業統治への意識が高まるなか、多くの企業がESGに基づいた経営の重要性を認識しています。専門的な知識とノウハウが必要だと感じたら、ESGコンサルティングの導入が解決策の一つです。
専門家による具体的なアドバイスとサポートは、経営戦略の適切な転換を促進し、ESG目標達成へと導きます。これまで気づかなかった課題や新たな成長機会を得られるようになるはずです。
SDGs/ESGの推進に向けて、
サステナビリティコンサルタントが取り組みを分析し、
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