コラム

SDGsとは簡単に言うと何?具体的な取り組みまで徹底解説

SDGsとは簡単に言うと何?具体的な取り組みまで徹底解説
目次

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」を意味します。テレビやネットニュースで言葉自体は聞くようになったものの、SDGsの内容までは詳しく知らないという人も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、「SDGsをわかりやすく説明してほしい」「具体的な取り組みについて知りたい」という人に向けて、SDGsとは何かを徹底解説していきます。

本記事を読むことで、SDGsの概要から自治体・企業による具体的な取り組み方まで知ることができますよ。この記事がSDGsを実践するきっかけになると幸いです。

SDGsとは何か

ここからは、SDGsについて以下の項目に分けて詳しく解説していきます。

  • SDGsは「世界中の課題を2030年までに解決するため目標」
  • SDGsの始まりは2015年
  • 日本のSDGs達成度は世界21位

SDGsは「世界中の課題を2030年までに解決するための目標」

SDGsとは簡単に言うと、「世界中にある環境問題や差別・貧困・人権問題などの課題を2030年までに世界のあらゆる人たちが協力して解決していこう」という内容の国際目標です。

国連加盟193ヶ国から採択され、2016年から2030年の15年間で達成すべき目標がまとめられています。

「世界のすべての人が取り残されずに、安全・安心な人間らしい暮らしができること」「これから先も地球に住み続けられるよう、環境問題も解決・改善すること」を目指して目標設定されています。

SDGsの始まりは2015年

SDGsが採択されたのは、2015年9月に開催された国連サミットです。

SDGsが始まる前は、「MDGs(Millennium Development Goals)」という「開発途上国の貧困・教育・健康・環境に関する課題」を改善するための目標がありました。一定の成果はあったものの、MDGsの目標は開発途上国が抱える問題へのアプローチに偏っていました。

21世紀に入り、都市の貧困や人権など先進国にも存在する課題を考慮し、MDGsの後継として作られたのがSDGsです。

日本のSDGs達成度は世界21位

引用:Development Report 2023

このランキングは、国連の研究組織が各国のSDGsの達成度を発表したものです。100点満点で採点したスコア順になっており、2023年の日本は79.41点、166ヶ国中21位でした。

日本は2017年には11位だったものの年々順位が低下し、2023年には初めて20位代にまで順位を落としました。火力発電による二酸化炭素の排出量が多く、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」の項目で低評価であることなどが問題視されています。

SDGs17の目標一覧表

引用:日本ユニセフ協会「SDGs CLUB」

SDGsには17の目標があります。分類ごとに一覧表にまとめると以下の通りです。

目標

分類

内容

貧困をなくそう

People(人間)

地球上のあらゆる形の貧困をなくす

飢餓をゼロに

People(人間)

飢えをなくし、だれもが栄養のある食料を十分に手に入れられるよう、地球の環境を守り続けながら農業を進める

すべての人に健康と福祉を

People(人間)

だれもが健康で幸せな生活を送れるようにする

 

質の高い教育をみんなに

People(人間)

だれもが質の高い教育を受けられる環境を用意し、生涯にわたって学びを深めてもらう

 

ジェンダー平等を実現しよう

People(人間)

男女平等を実現し、すべての女性と女の子の能力を伸ばして可能性を広げる

 

安全な水とトイレを世界中に

People(人間)

だれもが安全な水とトイレを利用できるようにし、自分たちでずっと管理していけるようにする

エネルギーをみんなに 
そしてクリーンに

Prosperity(豊かさ)

すべての人が、安くて安全で現代的なエネルギーをずっと利用できるようにする

 

働きがいも経済成長も

Prosperity(豊かさ)

みんなの生活を良くする安定した経済成長を進め、だれもが人間らしく生産的な仕事ができる社会を作る

産業と技術革新の基盤をつくろう

Prosperity(豊かさ)

災害に強いインフラを整え、新しい技術を開発するなど、みんなに役立つ安定した産業化を進める

 

人や国の不平等をなくそう

Prosperity(豊かさ)

世界中から不平等を減らす

住み続けられるまちづくりを

Prosperity(豊かさ)

だれもがずっと安全に暮らせて、災害にも強いまちをつくる

つくる責任 つかう責任

Planet(地球)

生産者も消費者も、地球の環境と人々の健康を守れるよう、責任ある行動をとる

気候変動に具体的な対策を

Planet(地球)

気候変動から地球を守るために、今すぐ行動を起こす

海の豊かさを守ろう

Planet(地球)

海の資源を守り、大切に使う

 

陸の豊かさも守ろう

Planet(地球)

陸の豊かさを守り、砂漠化を防いで、多様な生物が生きられるように大切に使う

平和と公正をすべての人に

Peace(平和)

平和でだれもが受け入れられ、すべての人が法や制度で守られる社会をつくる

パートナーシップで目標を達成しよう

Partnership
(パートナーシップ) 

世界のすべての人がみんなで協力しあい、これらの目標を達成する

参考:SDGs CLUB 「SDGs17の目標」

SDGsでは、「地球上のおよそ3億5,600万人の子どもたちが極度に貧しい暮らしをしている」「自然災害の発生件数が大きく増えている」といった世界の問題に対し、解決を図るための目標がそれぞれ設定されています。

SDGsの17の目標は、おおまかに、頭文字「P」の5つのカテゴリに分けられます。

  • People(人間)
  • Prosperity(豊かさ)
  • Planet(地球)
  • Peace(平和)
  • Partnership(パートナーシップ) 

以下では、「5つのP」について解説します。

People(人間)

「People(人間)」のカテゴリには、貧しさを解決して健康的な生活を目指すための目標が該当します。

貧困は「栄養が不足する」「教育が受けられない」「社会的な差別を受ける」といったさまざまな問題を引き起こします。それらを防ぐために、世界人々が教育を受けること・安全な水や衛生環境・健康的な生活を保障することを目指します。

Prosperity(豊かさ)

「Prosperity(豊かさ)」に分類される目標では、だれもが、どこで暮らしていても、心とカラダが豊かであることを目指します。

テクノロジーの進歩で世界を豊かにしつつ、一人ひとりの収入や働き方を担保していくのが課題です。そして、すべての人が充実した生活を送れるようにします。

Planet(地球)

「Planet(地球)」は、次の世代のために、地球の環境を守ることをベースとした目標です。

地球には豊かな自然がありますが、資源には限りがあります。とくに温暖化によって気温が上昇すると、環境が崩れて生態系に影響を与えたり、乾燥によって森林火災を引き起こしたりします。このような環境破壊から地球を守っていくための目標です。

Peace(平和)

「Peace(平和)」は、平和な世界を目指すための目標です。戦争や紛争、暴力、迫害などに苦しむ人をなくし、世界平和を実現することを目指しています。

Partnership(パートナーシップ) 

「Partnership(パートナーシップ) 」に分類される目標では、SDGs達成のために、すべてのプレイヤーが協力することを目指しています

国と国の協力だけでなく、企業・政府・地域・学校・家庭といったあらゆる単位の組織や個人が協力し、SDGsの実現を目指します。世界が一体となって、世界のあらゆる問題を解決していくための目標です。

SDGs169のターゲット

17の目標が「2030年のあるべき姿」を表しているのに対し、169のターゲットより具体的な指針が示されています。また、それぞれのターゲットには、達成度を測るための「指標」が設定されています。つまり、SDGsは3層構造で設計されている目標ということがわかります。

たとえば「貧困をなくそう」を一例にあげると、以下の通りです。

目標

貧困をなくそう

ターゲット1.1

2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。

指標

国際的な貧困ラインを下回って生活している人口の割合(性別、年齢、雇用形態、地理的ロケーション(都市/地方)別)

引用:外務省「SDGグローバル指標(SDG Indicators)」

大きなゴールとなる「目標」に対し、具体的に掘り下げてアクションをとりやすくするための「ターゲット」が設定されているのです。

日本政府によるSDGsの取り組み【3つの柱】

日本では2016年5月に安倍総理が本部長となり、第1回「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部会合」が開催されました。その後「SDGsアクションプラン2019」が策定され、以下3つを柱としてSDGsに対する活動を推進しています。

  • 柱①Society 5.0の推進
  • 柱②地方創生、強靱かつ環境に優しい魅力的なまちづくり
  • 柱③次世代・女性のエンパワーメント

3つの柱について、それぞれ詳しく解説します。

参照:SDGs推進本部「SDGsアクションプラン2019」

柱①Society 5.0の推進

引用:経団連「Society5.0 for SDGs」

「Society 5.0」とは、あらゆる産業や社会に革新技術(AI・IoT・ロボット・ビッグデータなど)を取り入れることによって実現する、「新たな未来社会の姿」です。

つまり「Society 5.0の推進」では、革新的なテクノロジーの力を使ってこの未来社会を作り、ビジネスを通じながらSDGsを実現していくという内容になっています。

今までの企業では、売上の余剰資金で社会に良いことをする発想が主流でした。それがSDGsでは、事業を通じてビジネスをしながら世界を変えていこうとする発想に変わりました。経済成長と社会的課題の解決が両立する状態を目指しているのです。

柱②地方創生、強靱かつ環境に優しい魅力的なまちづくり

「地方創生」では、経済・社会・環境の3つの側面における持続可能な開発の支援に取り組んでいます。積極的に持続可能な都市・地域づくりを目指す自治体を「SDGs未来都市」として選定し、予算を付けてサポートしているのです。

また、強靭な循環共生型社会の構築を目指し、「質の高いインフラ」や「海洋プラスチックごみ対策」なども推進しています

柱③次世代・女性のエンパワーメント

若者や女性にフォーカスした取り組みを中心としているのが「次世代・女性のエンパワーメント」です。

たとえば、「子どもへの質の高い教育」や「女性の活動推進」などがあげられます。また、人材育成に必要不可欠な保健についても力を入れています。

日本政府は、「すべての人が、適切な健康増進・予防・治療・機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられる」ことを目指したユニバーサルヘルスカバレッジへの活動も推進中です。

自治体によるSDGsの取り組み

自治体という単位ではSDGsの達成において、多岐にわたる分野で取り組みを進めることができるポテンシャルがあります。具体的には、以下のような分野があります。

  • インフラ整備
  • 教育機関・企業体制の変革
  • 介護・福祉サービスの促進
  • エネルギー消費の効率化

たとえば石川県白山市では、女性が子育てをしながら活躍できる職場づくりに取り組んでいます。女性の移住・定住が促進され、山間部の人口減少を食い止めることに繋がっています。

京都府では「温室効果ガス排出量実質ゼロ」を目標に活動中です。脱炭素社会に向けて、信号機や道路照明のLED化や太陽光パネルの設置などの取り組みを進めています。

自治体がSDGsに取り組むことで、人々が安心して生活ができるようなまちづくりを実現できるのです。

企業によるSDGsの取り組み

企業には自社の創造性やイノベーションを活用し、社会課題の解決に貢献することが期待されています。SDGsに取り組むことで、「企業イメージが向上する」「資金調達がしやすくなる」といったメリットもあります。

たとえば「積水化学工業株式会社」で行っているのが、開発途上国への支援です。社員が食堂の定食メニューに追加で20円支払うだけで、開発途上国の学校給食を支援する活動に協力できる仕組みです。

また「アートコーポレーション株式会社 」では、自社で開発した「エコ楽ボックス」により、引越しの際に発生する資源ごみの削減を推進しています。

企業によるSDGsの取り組みについては以下の記事で詳しく解説しているので、気になる人はあわせてチェックしてみてください。


【企業のSDGs】8つの取り組み具体例と5つの導入メリットを徹底解説 |コラム|SDGs診断ツールKIBOH・TSUMUGI

SDGsは2015年に国連サミットで採択され、昨今では企業単位でSDGsに取り組むことが一般的になりつつあります。しかし、「他社はどんな取り組みをしているのだろう?」「SDGsに取り組むメリットって何?」と疑問に思う役員の方も多いでしょう。

nk-sdgs-service.com

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SDGsとは何かを理解し、自分たちでできることを考えよう

SDGsとは、2030年までに世界中のみんなでさまざまな課題を解決していくための目標です。貧困や地球環境など17の目標を掲げ、169の具体的なターゲット設定しています 。

日本政府では3つの柱を元にSDGsに対する活動を推進しています。自治体や企業、また個人といった単位でも実践できることはたくさんあるでしょう。

自治体であれば、その自治体の課題とSDGsが関連するような取り組みを進めることで、地域の課題解決とともにSDGsの貢献につながります。企業であれば、その企業の得意分野に関連する活動をしたり、社員が気軽に取り組めることから始めたりするのもおすすめです。

自分や自分の属する組織できることを考え、SDGsに貢献できる具体的な活動を実践してみてください

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