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SDGsに企業が取り組む7つのメリットとは?デメリットや手順など解説

SDGsに企業が取り組む7つのメリットとは?デメリットや手順など解説
目次

「企業としてSDGsに取り組みたいが、メリットはあるのか?」と、疑問に感じている人も多いことでしょう。

企業がSDGsに取り組むことには多くのメリットがあります。ただし、デメリットもあるため、メリットを活かすにはマイナス面の理解も不可欠です。

本記事では、企業がSDGsに取り組む7つのメリットと4つのデメリットについて解説します。記事の後半では、SDGsに取り組んでいる日本企業と、その取り組み内容を紹介しますので、最後までご覧ください。

企業がSDGsに取り組む7つのメリット

企業がSDGsに取り組むことには、次のような7つのメリットがあります。

  1. SDGsブランディングにつながる
  2. ステークホルダーとの関係性が向上する
  3. コストの削減につながる
  4. 新たな市場を開拓するチャンスになる
  5. 優秀な人材を確保できる
  6. ESG投資により資金調達ができる
  7. 事業継続性が高まる

SDGsに取り組むメリットは多く、企業にとって事業を拡大できるチャンスにもなるでしょう。

1.SDGsブランディングにつながる

企業がSDGsに取り組む7つのメリットの1つ目は「SDGsブランディングにつながる」ことです。

SDGsブランディングとは、SDGsを通じて企業のブランド力を高めるための取り組みです。

近年、温室効果ガスによる気候変動、自然災害の増加による貧困などが世界的な問題になっています。企業活動は自然環境に大きく影響するため、企業の責任として環境対策を実行する必要性が高まっています。

そのような情勢の中、率先して環境問題に取り組むことで他社との差別化となり、企業のブランド力を向上させることが可能です。

企業のブランド力が向上すれば、消費者や投資家などへのアピールになり、さまざまな恩恵が受けられます。結果的に、事業の拡大にもつながるでしょう。

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2.ステークホルダーとの関係性が向上する

企業がSDGsに取り組む7つのメリットの2つ目は「ステークホルダーとの関係性が向上する」ことです。

SDGsは世界の問題を解決するための目標であり、SDGsに取り組む企業は社会的責任(CSR)を果たす意識が高いことを示しています。社会的責任を果たす姿勢はステークホルダーに好感を与えるため、今までよりもいい関係を築けると考えられます。

ステークホルダーとの関係性が良好なものとなれば、消費者やユーザー等の顧客からのニーズが高まったり、金融機関からの積極的な融資を期待できたりすることで、事業の拡大につながっていくことでしょう。

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3.コストの削減につながる

企業がSDGsに取り組む7つのメリットの3つ目は「コストの削減につながる」ことです。

SDGsに取り組む際には、資源を大切にした経営をしなければなりません。

たとえば、紙ベースで書類を作成・保管していたのであれば、電子書類に切り替えることがあげられます。書類を電子化すれば紙にかかっているコストを削減できます。

たとえ電子書類を保管するツールの導入にコストがかかったとしても、書類を探す手間や保管する手間がなくなることで従業員の業務コストを削減できるため、全体的に見るとコスト削減になるでしょう。

4.新たな市場を開拓するチャンスになる

企業がSDGsに取り組む7つのメリットの4つ目は「新たな市場を開拓するチャンスになる」ことです。

SDGsに取り組むことで、企業には環境に関係するノウハウが蓄積されます。新たに蓄積されたノウハウは、新商品や新サービスの開発につながる可能性があります。

現に、2017年に開催されたダボス会議では、次のような報告が公表されました。

「企業が国連のSDGsを達成すると仮定した場合、2030年までに少なく見積もっても12兆ドルの経済価値が創出され、最大3億8,000万人の雇用が生み出される可能性もある」

ダボス会議の報告からも、SDGsには多くのビジネスチャンスがあることがわかります。

5.優秀な人材を確保できる

企業がSDGsに取り組む7つのメリットの5つ目は「優秀な人材を確保できる」ことです。

SDGsブランディングに取り組めば、企業のイメージが向上し従業員のモチベーションアップにつながります。

収入や労働条件のほかに、企業のイメージについて重要視している従業員もいるでしょう。

企業のイメージがよくなれば、そのような従業員はいい企業に勤めているという認識が強くなります。自社にいいイメージをもつ従業員は離職する可能性が低くなるため、人材の流失を防げます。

また、イメージがいい企業の採用には、多くの人材が応募します。多くの人材から応募があれば自社の考えにマッチした人や、優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。

6.ESG投資により資金調達ができる

企業がSDGsに取り組む7つのメリットの6つ目は「ESG投資により資金調達ができる」ことです。

ESGとは、Environment・Social・Governanceの頭文字で、日本語で訳すと「環境」「社会」「ガバナンス」となります。

通常、企業に投資する場合には財務情報を参考にしますが、近年、環境対策の必要性が高まり、環境に対する活動や社会的な課題に対する取り組みという非財務情報を評価する動きが見られます。

こうした非財務情報を基にした投資が「ESG投資」です。ESG投資は投資家だけでなく、金融機関もおこなっているため、ESG投資で資金を調達できるシーンが増加しています。資金調達できる場面が多ければ、安定した経営を図りやすくなります。

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7.事業継続性が高まる

企業がSDGsに取り組む7つのメリットの7つ目は「事業継続性が高まる」ことです。

環境問題は世界的な課題であり、SDGsに取り組んでいることで企業の信頼性が高まる傾向が見られます。企業が信頼されると顧客が増えやすくなり、売上が増加するため経営が安定します。

加えて、企業がESG投資の対象と評価されることによって、資金調達の幅も広がります。SDGsへの取り組みが、顧客や投資家、金融機関などへのアピールとなることで、結果的に事業継続性が高まるのです。

企業がSDGsに取り組む4つのデメリット

企業がSDGsに取り組むときには、次の4つのデメリットに注意しなければなりません。

  1. 従業員の負担が増える
  2. 一時的に多くのコストが発生する
  3. 売上や利益が減少することもある
  4. SDGsウォッシュを引き起こすおそれがある

SDGsに取り組むメリットは多いものの、デメリットもいくつか存在します。デメリットの内容を確認し、メリットを最大限活かせるよう対策を講じていきましょう。

1.従業員の負担が増える

企業がSDGsに取り組む際には、従業員に負担がかかります。

SDGsへ取り組むには、企業の温室効果ガスの排出量を算定したり、環境に配慮した製品を開発したりなど、既存の業務とは異なる仕事をしなければなりません。

とくに人員が不足している企業の場合、従業員に本業とSDGsの取り組みを同時におこなわせることになってしまい、従業員にとっては大きな負担です。

SDGsに取り組むときには、従業員の負担に配慮し、数年かけてゆっくりと計画を進めていきましょう。従業員の負担を時間的に分散することで、負担を感じにくくなる効果が期待できます。

2.一時的に多くのコストが発生する

SDGsに取り組めば長期的にはコスト削減が見込めるものの、短期的にはコストは増大してしまいます。

再生可能エネルギーを利用したり、新たな製品を製造したりするには設備投資が必要です。また、SDGsに取り組むための計画策定や、計画にもとづく行動には労働に対するコストもかかります。

SDGsに取り組む効果が出るまではコストがかかると考え、計画を立てるときには必要なコストを見込んでおきましょう。

3.売上や利益が減少することもある

SDGsの取り組みに注力しすぎると、売上や利益の減少を招くケースもあります。

企業がSDGsに取り組む場合、多くのリソースを割かなければなりません。SDGsにリソースを割きすぎると、本業に回すリソースが少なくなってしまいます。SDGsへの取り組みの効果はすぐに発生しないため、本業を疎かにすると危険です。

SDGsへの取り組みを計画するときには、本業への影響を考慮し、しっかりと精査することが大切です。

4.SDGsウォッシュを引き起こすおそれがある

企業がSDGsに取り組む場合、SDGsウォッシュに注意しなければなりません。

SDGsウォッシュとは、SDGsの取り組み内容と実際の活動がともなっていないことです。

取り組みの内容を公表すれば、消費者や投資家などへのアピールになるため、多くのメリットを得られるでしょう。

しかし、公表した内容が実際の行動とマッチしていない場合、世間から批判され、逆に企業のイメージが低下してしまいます。イメージがダウンすると、顧客離れや従業員の離職などを招いてしまい企業にとっては大きなダメージです。

SDGsへの取り組みを公表する際には、達成できる目標を設定する、進捗をこまめに報告するといったことを意識し、SDGsウォッシュを回避しましょう。

SDGsウォッシュについて詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。


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企業がSDGsに取り組むための手順

企業がSDGsに取り組むための手順は、次のとおりです。

  1. 優先課題を決める
  2. 目標を設定し経営に落とし込む
  3. 対策の結果を発表する

SDGsに取り組むとしても、無計画で実行しては成功しません。メリットを得るためにも手順を確認して準備を進めていきましょう。

STEP1.優先課題を決める

企業がSDGsに取り組むときには、まず優先的に解決すべき課題を決めます。

SDGsには次のような17の目標が設定されています。

  • 貧困をなくそう
  • 飢餓をゼロに
  • すべての人に健康と福祉を
  • 質の高い教育をみんなに
  • ジェンダー平等を実現しよう
  • 安全な水とトイレを世界中に
  • エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  • 働きがいも経済成長も
  • 産業と技術革新の基盤を作ろう
  • 人や国の不平等をなくそう
  • 住み続けられるまちづくり
  • つくる責任つかう責任
  • 気候変動に具体的な対策を
  • 海の豊かさを守ろう
  • 陸の豊かさも守ろう
  • 平和と公正をすべての人に
  • パートナーシップで目標を達成しよう

引用:日本ユニセフ協会「SDGs17の目標

目標の種類は多く、すべての項目を達成するのは困難です。自社がどの目標と合致しているのか、達成できる目標は何か洗い出さなければなりません。

達成できる項目を絞り、優先して解決していく事項を明確にすれば、目標を達成できる可能性が高まります。

STEP2.目標を設定し経営に落とし込む

優先的に解決する項目を絞ったら、自社の目標を具体的に設定し経営に落とし込みます。

自社の目標を設定する際には、次の3つのポイントに気をつけましょう

  1. 計測可能であること
  2. 期限付きであること
  3. 持続可能であること

SDGsに取り組む場合、具体的な数字を一定の期限で達成し、続けて実行する必要があります。3つのうちの1つでもかけてしまうと、SDGsウォッシュを引き起こす可能性があります。 

また高すぎる目標を設定すると、従業員に大きな負担がかかったり多額のコストがかかったりするため、避けるようにしましょう。

STEP3.対策の結果を発表する

自社の目標を設定し実行に移したら随時、対策の結果を発表します。

結果の発表をおこなうには、行動の成果や今後の展望などを分析しなければなりません。分析することで、今後の課題を発見でき、より効果的な対策を実行できます。

また、結果を発表することで、取り組みを社外に知ってもらう機会にもなります。社外から取り組みを評価されれば、SDGsブランディングの効果が加速するでしょう。

なお、上場企業は特定の情報を開示する義務があるものの、非上場企業には発表の義務はありません。しかし、SDGsブランディングを最大限に引き出したいと考えるのであれば、しっかりと発表していくことが大切です。

SDGsブランディングについて詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。


SDGsブランディングとは?企業が得られるメリットやブランディングを加速させる方法まで解説 |コラム|SDGs診断ツールKIBOH・TSUMUGI

SDGsに貢献する企業として認識されると、環境や社会の課題に取り組みながらも企業イメージを向上させることができるという多くのメリットが得られます。このような取り組みを「SDGsブランディング」といいます。SDGsへの貢献を通して自社をブラン

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SDGsに取り組んでいる企業の事例

SDGsに取り組んでいる企業は多くありますが、ここでは次の3社の取り組みを紹介します。

  1. アート引越センター株式会社
  2. 野村ホールディングス株式会社
  3. イオン株式会社

各企業がどのような取り組みをしているか確認し、自社の取り組みに活かせないか検討していきましょう。

1.アート引越センター株式会社

アート引越センターはSDGsの17のゴールのうち、「つくる責任つかう責任」「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」など計8つのゴールに貢献する取り組みをおこなっています。

取り組みの一環として、すべての従業員にエコバックを配布しています。配布したエコバックを買い物時に利用してもらうことで、レジ袋の消費を抑えるという活動です。エコバックは個人で利用できるため、一個人としての意識を高めるのにも役立っています。

アート引越センターの取り組みは、本業とは違う部分でもSDGsに貢献できることを示す例です。

参考:アート引越センター株式会社「アートグループのSDGs」

2.野村ホールディングス株式会社

野村ホールディングスでは、「質の高い教育をみんなに」「ジェンダー平等を実現しよう」など7つのSDGsのゴールに貢献する取り組みを行っています。

約30の国や地域に女性従業員が多くいる野村ホールディングスは、女性の力も企業の発展に必要と考えており、2024年国際女性デーにちなみ各地でイベントを開催しています。

たとえば、日本では「ウーマノミクス」を推進する講座を開催しました。ウーマノミクスとは、「女性」と「経済」という2つの言葉をつなげたものです。女性が活躍できる場所を整備し、ジェンダー平等を実現するための取り組みの代表例といえます。

参考:野村ホールディングス株式会社「SDGs with Nomura」

3.イオン株式会社

イオンは、「気候変動に具体的な対策を」「陸の豊かさも守ろう」など4つのSDGsのゴールに取り組んでいる企業です。

全国に展開するイオンは、1991年から新店舗を出店するたびに地域の人とともに、店舗敷地内の植林を進めています。

また、敷地外でも、自然災害や伐採によって樹木が少なくなってしまった地域の植林を推進しています。幅広い地域で植林活動をおこない、2021年2月までで植樹した本数の合計が 1,222万6,872本に達しているとのことです。

参考:イオン株式会社「SDGsの取組み」

SDGsに取り組んだメリットを活かして事業を拡大していこう

企業がSDGsに取り組むと、次のように7つのメリットが得られます。

  1. SDGsブランディングにつながる
  2. ステークホルダーとの関係性が向上する
  3. コストの削減につながる
  4. 新たな市場を開拓するチャンスになる
  5. 優秀な人材を確保できる
  6. ESG投資により資金調達ができる
  7. 事業継続性が高まる

しかし、メリットの効果を得るには、取り組むデメリットも理解して対策していかなければなりません。

SDGsへの取り組みは業績を大きく向上させる可能性を秘めています。メリットを最大限に活かして事業を拡大していきましょう。

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