コラム

SDGsコンサルティングとは?重要性や選び方の基準などを解説

SDGsコンサルティングとは?重要性や選び方の基準などを解説
目次

2030年に向けて、ますます関心の高まるSDGsSDGsへの対応は、現代のビジネスにとって避けては通れない道となっています。

一方で、社内の知識不足や時間とリソースの制約に悩みを抱える企業や自治体の担当者も多いでしょう。

企業の悩みを解決する選択肢の一つが、SDGsコンサルティングです。専門家による効率的なアプローチにより成果への道筋を描き、SDGs対応を効果的に推進します。

本記事では、SDGsコンサルティングの必要性とサービス内容を解説します。サービス提供会社の選び方までお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。




SDGsとは?

SDGsとは、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)のことで、全世界の貧困をなくし、地球を守り、すべての人に平和と繁栄をもたらすための国際的な目標です。

2015年の国連サミットで採択されて以来、多くの国・企業が計画の策定と実行に取り組んでいます。

SDGs誕生の背景

SDGsの背景には、2000年に始まったミレニアム開発目標(MDGs)があります。

MDGsは、貧困の撲滅・初等教育の普及・性別平等の推進など8つの目標を掲げ、主に開発途上国の課題解決に焦点を当てた取り組みです。

顕著な成果をあげたものの、いまだに多くの課題が残されています。

MDGsを引き継ぐための次世代の枠組みとして「誰もが取り残されない」世界を目指す、SDGsが打ち立てられました。

MDGsの成果と課題

テーマ

成果

課題

極度の貧困と飢餓撲滅

  • 極度の貧困で暮らす人の数は、半数以下
  • 5歳未満児のうち低体重児の割合は、ほぼ半減
  • 極度の貧困にいる人々の居住地域に偏りがある
  • 女性は有給の仕事に就きにくく、賃金が低い傾向

普遍的初等教育の達成

  • 途上国の初等教育就学率は80%→91%に増加
  • 若者の識字率は83%→91%に向上
  • 小学校未就学児の居住地域に偏りがある
  • 小学校未就学児の半数以上が女子

環境の持続可能性の確保

  • 安全な飲料水を入手できる人の割合は、76%→91%
  • 世界の人口の68%が改善された衛生設備を利用
  • 地表水を使う人の90%が農村部
  • 辺地や中心部から遠い人ほど、トイレを利用できない

※unicef「ミレニアム開発目標(MDGs)」をもとに一部を抜粋して作成

SDGsの基本理念と目標

引用:Sustainable Development Report 2023 P.290

SDGsは、17の開発目標とその下に設定された169のターゲット、さらにそれを測定する232の指標を定めた広範な枠組みです。

毎年7月に国連が公表しているSDGs達成状況の国際ランキングによると、2023年の日本のランクは21位となり、前年19位と比べて順位が2ランクダウンする結果となりました。

特に以下の項目は、部分的に改善されているものの、「Major Challenges(主要課題)」として提起されています。

  • 目標5:ジェンダー平等を実現しよう
  • 目標12:つくる責任、つかう責任
  • 目標13:気候変動に具体的な対策を
  • 目標14:海の豊かさを守ろう
  • 目標15:陸の豊かさも守ろう

SDGsへの対応は、開発途上国だけでなく、先進国も含めたすべての国が共同で取り組むべき課題とされています。

日本が目標を達成するためには、企業や自治体の積極的かつ戦略的な行動が必要不可欠です。

SDGs取り組みの始め方

企業がSDGsへの取り組みを成功に導くためには、具体的なステップが欠かせません。こちらでは、SDGsを始めるためのステップと参考にすべき指標を紹介します。

実践に移すためのステップ

何から着手すべきか判断に迷ったら「SDGs Compass」を参考にするといいでしょう。

SDGコンパスは、SDGsを牽引する3つの団体により共同で作成された「SDGs対応に向けた5つの行動指針」です。

SDGコンパスにおける5つのステップ>

  1. SDGsを理解する
  2. 優先課題を決定する
  3. 目標を設定する
  4. 経営へ統合する
  5. 報告とコミュニケーションを行う

この流れに沿って取り組むことで、企業はSDGsの目標達成に向けた効果的な戦略を展開できます。

また、SDGsへの取り組みにあたって、専門知識を持つ人材の確保や時間の制約に困ったら、SDGsコンサルティングの活用も検討しましょう。

自社だけでは想定できなかった課題選定や目標設定を見いだすことにつながります。

SDGsコンサルティングの必要性

SDGsへの取り組みは多岐に渡るため、どこから実現すればよいのかわからずに悩む中小企業や個人事業の経営者は少なくありません。

そうした企業の悩みを解決し、知識・人手不足を補うのがSDGsコンサルティングの役割です。

こちらでは、民間企業や自治体におけるSDGsの重要性とコンサルティングを導入するメリットをお伝えします。

企業や自治体におけるSDGsの重要性

企業や自治体にとって、SDGsへの取り組みは社会貢献以上の重要性を持っています。

現代では、SDGs戦略を判断材料とするESG投資が増加傾向にあり、投資家やステークホルダーからの評価に直結しています。

また、自治体の地方創生やまちづくりにおいても、SDGsを踏まえた政策は重要です。国連の方針に呼応して、日本政府は地方創生のための「SDGs未来都市」プロジェクトをはじめとした支援策を展開。

自治体の積極的なSDGs対応が、地方経済の強化や地域発展の新たな機会の創出に繋がっています。

コンサルティングによるメリット

SDGsコンサルティングのメリットは、豊富な知識や人的リソースの確保、効率的な目標達成などが挙げられます。

コンサルティング会社のノウハウを活用すれば、企業の課題に合わせた効果の高い施策を効率的に実施できるでしょう。

一方、SDGsコンサルティングを活用しない場合、目標設定の曖昧さや戦略不足に直面する可能性があります。SDGsへの対応が遅れることで、投資家や顧客からの信頼を失う恐れもあるのです。

コンサルティングの対応範囲

SDGsコンサルティングサービスは、企業や自治体SDGsの理解・導入・実践など、成果を最大化するための支援を提供するサービスです。コンサルティングの全体像は、以下の5種類に分けられます。

SDGsコンサルティングサービスの全体像】

プロセス

実施内容

①現状分析と理解促進

  • SDGsに関する基礎知識の提供
  • 組織の現状とSDGsのゴールとの関連性分析
  • SDGs取り組みの重要性の認識促進

②マテリアリティの特定

  • 組織にとって最も重要なSDGs目標の特定
  • ステークホルダーからの期待の把握
  • リスクと機会の分析

③戦略立案と目標設定

  • マテリアリティ分析に基づく戦略的方向性の決定
  • 達成可能で測定可能な短期・中期・長期目標の設定
  • KPI(重要業績評価指標)の策定

④実行計画の策定

  • 目標達成に向けた具体的なアクションプランの作成
  • 資源配分とロールの明確化
  • プロジェクト管理計画の策定

⑤実施とモニタリング

  • アクションプランに基づく取り組みの実施
  • 定期的な進捗状況のモニタリングと評価
  • KPIによる成果測定

コンサルティングは、①~⑤の全てを包括して依頼する方法や、段階に応じて部分的に相談する方法があります。 企業や自治体のニーズや現在の進行状況に合わせて判断しましょう。

以下では、2つのフェーズに分けて具体的に説明します。

理解度促進からマテリアリティ特定のステージ

初期段階では、SDGsに関する組織全体の共通認識が重要です。社内での理解を浸透させるために研修や講義を繰り返すのも良いでしょう。

続いて、優先課題となるマテリアリティを特定します。マテリアリティの特定は、SDGsにおける17の開発目標や169のターゲットを参考に行いましょう。

また、ツールを通した課題特定も選択肢の一つです。たとえば、『TSUMUGI@™』(※)を活用すれば、現在の取り組み状況を診断し、見える化することができます。

特に、各部課が独立し、それぞれの部門で異なる専門性を持っている自治体では、SDGsへの自己査定や評価により、正確な進捗把握に繋がります。

目標設定からモニタリングのステージ

目標設定からモニタリングのステージでは、達成したいSDGsの目標に基づき、具体的な短期・中期・長期の目標を設定します。

さらに、目標達成に向けた戦略的なアクションプランを策定し、各部門やチームに具体的な役割を割り当てます。

また、これらの取り組みは一過性のものではなく、定期的に進捗をチェックする必要があります。

コンサルタントによるアドバイスを受けながら継続的なモニタリングと評価を繰り返し、SDGsへの貢献を効率的に進めましょう。

SDGsコンサルティング企業の選び方

SDGsコンサルティング会社を選定する際は、信頼できる専門性・専門家を有しているかまた会社の評判など念入りなリサーチが大切です。

コンサルタントへの事前相談、公開されている事例やレポートから、サービス提供会社が自社の方針とマッチしているかどうかを見極められます。

たとえば、環境問題への取り組みを優先する場合は、温室効果ガス削減や資源循環型社会への貢献など実績を持つコンサルタント選びがポイントとなります。

また、社会的インパクトを求めるなら、地域社会との共生や多様性を重視したプロジェクトのサポート実績のある会社を選択しましょう。

コンサルティング・パートナーの選定基準

コンサルティングの対応範囲は、戦略の構築から業務改善アドバイス、ITツールの提案など会社によってさまざまです。

最適なパートナーを選ぶには、具体的な選定基準を持ちましょう。以下をヒントに、多角的な観点から自社に合う基準を定めてみてください。

  1. 専門分野における深い知識
     
    コンサルティングには、環境や社会問題に対する課題や組織経営等に対する専門的知見が必要になります。また国・地域によっても求められる状況は変わります。自社が期待する領域の専門家を有しているか、自社の課題を理解し、解決策を提案してくれるかどうかを検討します。
  2. 自社の業界・分野への理解があるか
    自社の企業文化、ビジョン、目標等を理解してくれる会社を選びます。パートナーと共通の価値観を持つことで、より密な連携と効果的な成果が期待できます。
  3. 対応範囲とスピード感
     
    「〇月までに導入を完了したい」「特定のイベントに間に合わせたい」といった希望を理解し、計画を立案できるコンサルティング会社を選びましょう。また多くの場合、コンサルティングファームが有する専門性は異なりますので、自社課題に応じて複数のコンサルティングファームと協業することも考えられます。
  4. 予算とコスト
     
    料金の適切性を判断するために、複数の会社から見積もりを取り、比較しましょう。オプション内容やサポートの充実度も考慮することが肝心です。
  5. 担当者との相性
     
    実務経験、専門知識、コミュニケーション能力といった資質から担当者との相性を判断します。さらに、単にアドバイスを提供するのではなく、企業の実情や目指すべき方向性を理解し、寄り添った提案をしてくれるかどうかを見極めましょう。

コンサルティングでSDGsの取り組みを加速

脱炭素を含むサステナビリティへの貢献が求められる現代において、SDGsへの取り組みは必要不可欠ですが、専門知識が必要であり、実践に苦労している企業や自治体も少なくありません。専門家の不在や時間的制約が課題となっているケースも多いでしょう。

そんなとき、コンサルティングを活用すれば、費用対効果の高いアプローチを見つけ、事業戦略にSDGsを効率的に組み込むことが可能です。SDGコンパスの5つのステップに沿った具体的な指針をもとに、持続可能な社会づくりに貢献しましょう。


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